ミステリアスで面白い戸田さんとの対談は、前後編の2回構成。これでシリーズ完結となります。たった2回のエピソードとなりますが、老舗茶道具商が番組に出るなんてかなりレアなこと。大変貴重な機会だったと思います。普段はあまり表に出ることのない茶道具にまつわるお話を、お楽しみいただければと思います。
- Joi
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単なる売買だけでない奥深い茶道具商の世界
ここからはシナダがお届けしてまいります。 なんか、ここ最近日本経済が元気ないからでしょうか。世界経済やビジネスの話を聞くとちょっと尻込みしてしまう自分がいます。「いや、日本経済まじやばいっしょ」「GDPの順位も下がってっし」と自虐的なことを言ってなんとかプライドを保ってる気もしています。でも、今日の戸田さんのお話きいて、少しポジティブな感情を抱いている自分に気がつきました。
特に、戸田さんのお話の中で「お道具がどれだけ愛されるか」ということを中心に考えているのが印象的でした。つまり売買される商品やモノ自体に魂が宿ってるわけです。これって、JoiさんがよくいうFirst Order CyberneticsがSecond Order Cyberneticsに進化したぐらい新しい考え方じゃないですか!?売買されるコモディティ自体が意識を持つという考え方が経済学に組み込まれるとしたら、経済システム全体が根本から大きく変わるのでは...なんてちょっと想像してしまいました。
例えば、いままでは単純に値段で決まってた取引が、「倫理性」や「幸福度」みたいな、売買されるモノの気持ちや背景まで考えて決まるようになるかも。なんなら商品やサービスそのものが取引を拒否するなんてこともあるかもしれません。市場全体の「感情的動き」が経済指標の一部になるなんてこともあるかもしれません。
それに、経済に参加する「主体」の考え方も広がりそうです。現在の経済では、消費者、生産者、企業、政府が主な市場参加者ですが、将来は森林や河川といった自然環境も、意識を持つ経済主体として認識されるかも。例えば、ある開発プロジェクトを計画する際、その土地の「意思」や「感情」が重要な判断基準となる可能性だってあるわけです。
売買される商品やサービスの意識と感情を組み込んだ新しい経済市場では、すべての取引が「共感」に基づいて行われるようになるかもしれません。つまり、売り手と買い手の関係性、商品との対話、環境への影響など、多面的な「つながり」が取引の基準となるのです。
このような経済システムでは、効率性や利益だけでなく、すべての参加者の幸福度が重要な指標となります。例えば、企業の価値は単なる財務指標だけでなく、その企業が関わるすべての存在(従業員、顧客、環境、そして商品自体)との関係性の質によって測られるようになるかもしれません。
日本が大切にしてきた「モノに魂が宿る」を中心にした経済圏。これって、唯一無二じゃない!?それになんだか過熱気味で疲弊してる資本主義経済を涼しい顔して五段跳びぐらいで飛び越えていくヒントが隠れてるんじゃないか。そう思わせてくれるような示唆に富んだお話だったように思います。戸田さん、素敵なお話を本当にありがとうございました。
今回のエピソードを理解するための7つのキーワード
おじいちゃん
戦後、有数の目利きとして知られていたのが、戸田貴士さんのおじいさんに当たる戸田鍾之助さん。かなり破天荒な方で、よく喋り、夜遊びが激しくも、目利きに優れ、商売に長けていた方のようです。戦後、潰れかけていた谷松屋に婿養子として入り、事業を建て直したヒーロー的存在なんだそうですよ。
文化財保護法
昭和25年に制定された文化財を守るための法律。ここには「昭和24年1月26日の法隆寺金堂壁画の消失を契機として成立した」と書かれてはいますが、その前身となる「重要美術品等ノ保存ニ関スル法律」(昭和8年施行)はまぎれもなく、吉備大臣入唐絵巻の騒動が発端とされているようです。
吉備大臣入唐絵巻
吉備真備が遣唐使として中国で活躍する姿を描いた物語。下の動画では800年前の漫画!?なんて謳い文句がでてますが、なんと、同じく唐に渡った阿倍仲麻呂が赤鬼となって登場するらしいんです。え、なにそれ。阿倍仲麻呂って、百人一首とかにも出てきますが、717年に唐に渡り、科挙にまで合格したものすごい天才。ですが、帰国時の船が遭難して亡くなっています。ちなみにまきびんこと吉備真備も717年に渡唐。その後、帰国し再び偉くなってから752年にまた遣唐使になってます。これ、いつの時代なのかは微妙にわからないらしいんですが、もういないはずの留学仲間の仲麻呂くんがなぜか鬼になって登場し、ピンチに陥った真備を何度も助けてくれるんだそうです。これ、あれですねきっと時空を超えた友情物語。あついわー。ちなみに画像は全部こちらからダウンロードできちゃいます。ちなみに本当は2巻あるらしいんですが、現存してるのは前半だけ。後半、どうなっちゃうんでしょうか...
ボストン美術館
1932年、ボストン美術館の東洋部長に就任していた富田幸次郎が日本に帰っていたときに絵巻に出会い、購入したんだそう。当時存在していた法律は、「国宝保存法」のみ。国宝の指定を受けた美術品は輸出が禁止されていたものの、吉備大臣入唐絵巻は当時国宝に指定されていなかったため、輸出しても違法行為ではなかったそう。ただし、時代も時代。日本が軍国主義に突き進んでいた頃のことですから、「何事か!」と批判も大きかったようですね。いや、だったら国宝に指定しとこうよ...。 当時の週刊誌の報道で、富田幸次郎は次のように答えているそうです。「私は、売りに出ているから買った。誰も買手がなかつたから買った」。
Harris Treaty
日本語で日米修好通商条約のこと。はい、「人は御破算願う」で1858と年号を覚えました。なぜハリスなのか?それは、日米修好通商条約を契約にこぎつけた男、それがハリスだからです。フルネームはタウンゼント・ハリス。日本に圧倒的に不利な条約にこぎつけたあとは、初代駐日大使になっています。
竹の花入
Joiさんがこのお茶会で使った竹の花入は、箱書きによると井伊直弼が所有していたものでもあるらしいです。
井伊直弼
はい、教科書に出てきましたね。おさらいしましょう。井伊直弼は江戸時代の大老で、日米修好通商条約を締結した人物です。しかもこの時、井伊直弼は天皇の勅許を得ないまま締結したそうです。なんと見切り発車。そりゃ混乱が生じるわけです。結局こじれにこじれ、桜田門の前で暗殺されます。井伊直弼は、お茶を愛した人でもありました。一説によれば「一期一会」という言葉を広めたのも井伊直弼なんだとか。有楽町線で桜田門駅を通る度に思い出しましょう。
今週のおさらいクイズの申請先
「おさらいクイズ」の申請先は以下の通りとなります。
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